入賞者発表

短歌     山谷 英雄選

特選

賑はへる通りを埋める灯篭に聴かすが如く三味の音響く

千葉県松戸市 中原 政人

秀逸

真っ赤なる林檎を投げし君がいるふるさとの駅はやぶさ来る

兵庫県神戸市 岸野 孝彦

母の亡き我に手作りこけしをば握らせ兄は征きて帰らず

黒石市道北町 千葉 松江

新幹線たくさん乗ってと願いこめこけしとうろう明かりがともる

黒石市東英小6年  今  美裕

夜になりこけし灯ろう光出すまるで案内しているようだ

黒石市東英小6年 平野 双葉

佳作

湯の町のこけし灯ろう火の点り今宵降る雪照らして揺らぐ

田舎館村畑中 佐々木鶴池子

待ちわびし新幹線に乗る母の頬にきらりと涙の流る

千葉県松戸市 中原 政人

山あいの出湯の里の灯ろうは客舎の軒を淡く照らせり

黒石市緑町 佐藤 嘉子

亡き母の面影宿し微笑めるこけしに冬日一筋注ぐ

千葉県市川市 小田中準一

ふる里が近くなったぞ東京に今は住んでる青森人よ

黒石市東英小5年 佐藤  睦

夕ぐれの湯の町温湯百九のこけし灯りてほのぼの明し

弘前市本町 田中 雅子

今はもう会えなくなった祖母に似る津軽こけしに癒されてをり

佐賀県唐津市 古賀由美子

見上げたるジャンボこけしに若き日の父を重ねてしばし佇む

黒石市二双子 三浦 蒼鬼

新幹線開通祝ふ湯の里にこけしの灯ろう連ねて灯す

平川市南田中 成田 光雄

冬になりこけし灯ろう光ってる夜道を照らすまばゆい光

黒石市東英小6年 盛  悠介

湯の町に新幹線の開業を祝うこけしの灯籠百体

黒石市上十川 伊藤 英俊

初冬のこけし灯ろうにぎやかに顔それぞれのおもむきありて

黒石市石名坂 佐藤 愛子

みどり色のバンダナ映ゆる灯ろうを吾のこけしよと指す温湯びと

弘前市本町 田中 雅子

襟足の黒子もぬれて銀婚の妻とのんびり温湯の宿に

兵庫県神戸市 岸野 孝彦

両頬に林檎の色の紅さしてこけしさながら津軽の乙女

むつ市緑ケ丘 高橋やす子

総評

フィステバルということを大事にしながら、しかし、文芸としての品格を有している作品を評価した。
特選の作者は自信を持ってよい。ほかに個に即して内容のあるもの、表現技術の比較的確かな歌を認めた。
児童の作品にも見るべきものがいくつかあったことは嬉しい。
但し、これは全応募作に言えることだが、ことさら方言を多用するのは感心しない。
普通の言葉で確かな表現を目指すべきである。ともあれ、初学者も専門的に研鑽を重ねている作者も、この祭りを契機に大いなる発奮を期待したい。                 
(応募数47人・105首)

俳句   神 敏雄 選

特選

冬なのにこけし見てると熱くなる

黒石市東英小6年 伊藤 拓人

秀逸

温泉は雪あったかき友の酒

藤崎町銅屋森   清水稼志男

雪催い小芥子に宿をうながさる

黒石市下山形   さとう雪絵

枯野ゆく夢満載の新幹線

黒石市東新町1   盛  シヱ

写メールのこけし灯ろう雪に笑む

十和田市三本木  比内 順子

佳作

こけしさん冬のまつりに出場だ

黒石市東英小2年 高橋 一喜

雪だるま頭をのせてはいできた

黒石市東英小2年  盛  瑞希

雪がまう新幹線にこけしらに

黒石市東英小6年 佐藤 里菜

立ったままこけしが笑う冬の中

黒石市東英小4年 山口 紋可

冬茜そろそろこけし灯るころ

黒石市南中野   櫻田 良子

灯ろう数多何故か縺れてゆく二つ

藤崎町銅屋森   清水稼志男

湯治場のこけしの明かり雪明かり

平川市新屋町   小田切 力

初雪やこけしの目鼻まだつかず

滋賀県大津市   小見 伸雄

雪明り仄かこけしの紅の色

広島県廿日市     里

見つめられこけしの頬がリンゴ色

埼玉県さいたま市  岸  保宏

鶴の湯や民話の里の雪静か

黒石市二双子   三浦 蒼鬼

小春日や温湯薬師寺魔除け石

平川市南田中   成田 光雄

雪が舞う巨木にこけしほのぼのと

青森市千刈    松館  敬

巨灯ろう温湯こけしの恵方道

弘前市松原    高橋 桑花

冬月に映えるこけしの薄化粧

兵庫県福崎町   光山 道潤

国訛り飛び交う温湯冬うらら

黒石市東新町1   盛  シヱ

老い一人こけしと聞きぬ除夜の鐘

黒石市道北町   千葉 松江

吹雪く夜もほっそり温いこけしの眼

青森市新城    山田 楓子

こけしみな微笑みうかべ春近し

黒石市松葉町    泉 久仁穂

マフラーをして欲しさうなこけしかな

鳥取県米子市   門崎かずお

総評

特選句=小学生の素直な感性に拍手を送りたい。
秀逸
①=酌み交わす友情の温もり、それを包む湯宿のあたたかさ…。
②=作者が旅人であるのがうれしい。
③=真に期待の大きい新幹線ではある…。
④=送る人、受ける人、ほのぼのした人情のひろがりを感じる。
佳作20句=それぞれに出で湯と人情の里にふさわしい楽しい句が多かった中で「灯ろう数多何故か縺れてゆく二つ」「初雪やこけしの目鼻まだつかず」の2句には、何かぬぐいきれない人生ドラマを感じた。
(応募数81人・162句)

川柳   大黒谷サチエ選

特選

灯ろうと雪が旅路を助演する

岩手県宮古市    熊谷 大輔

秀逸

こけしの灯闇の余白を埋めている

黒石市上十川    伊藤 英俊

枕木にドラマを乗せて飛ぶはやて

神奈川県横浜市   佐々木恭司

新幹線心の距離を近くする

黒石市東英小5年   盛  南夕

灯ろうと人の心に火をともす

黒石市東英小5年  千葉 弥月

佳作

こけしとねいっしょにすごしいい一年

黒石市浅瀬石小3年 佐藤 遥香

けずったよジャンボこけし世界一

黒石市東英小4年   盛  響

ぼくたちのジャンボこけしはたから物

黒石市東英小3年  桜庭伸之助

温せんに入ってる人こけしかな

黒石市東英小3年 長谷川ちひろ

こけしさんみんなに見られて顔赤い

黒石市東英小2年  櫻庭 純汰

こけしがねあかりがついてたからもの

黒石市東英小1年  佐々木姫

温泉をジャンボこけしがのぞいてる

黒石市東英小4年 川原田ひかる

ふるさとに笑顔を運ぶ新幹線

黒石市東英小6年  外崎  生

青い森新幹線と白い駅

黒石市東英小6年  高橋 拓己

ここどこだとうろうこけしが道しるべ

黒石市東英小5年  桜庭 純斗

灯ろうが照らせば見えるオリオン座

黒石市東英小5年  須藤  慧

コケシからもらう笑顔の花暦

野辺地町船橋    杉山 蝶子

百態の灯ろう百の物語

黒石市下山形    佐藤 雪絵

赤い月買ったこけしが里を恋う

五所川原市金木町  櫛引八千代

ジャンボこけしが過疎の先頭ひた走る

黒石市二双子    三浦 蒼鬼

温泉に浸って伸ばした生命線

大阪府八尾市    穐山 常男

父さんの土産のこけしまだ昭和

静岡県静岡市    今井 忠雄

黒石へノスタルジィーを買いに来る

愛知県名古屋市   八木 茂平

灯ろうもこけしも僕をすぐ酔わす

鳥取県米子市    門脇かずお

雪しんしん誰の傘待つこけしたち

藤崎町中島     新谷 睦男

こけしにも掛けてやりたい温湯の湯

愛知県稲沢市    横井 永楽

黒石の美人をひとつ買う土産

東京都荒川区    酒井 具視

東北路心だんだん澄んでくる

佐賀県唐津市    古賀由美子

宇宙より温泉がよい老いの旅

愛知県常滑市    沢田 正史

東京が近くて夢がすぐ消える

宮城県栗原市    佐藤 民男

選を終えて

集句491句の中、入選率6%は非常に厳しい選でした。
次世代を担うジュニアの、こけしと灯ろうを愛する透明な心は、温湯の宝であり黒石の財産です。
一般の作品は、似たような句が多く見られ、その中でも特選の作品は、「こけし灯ろう「と「津軽の雪」をマッチさせたのが「主演」となりました。
秀逸
①=幻想的な姿。
②=一期一会のドラマ。
③=友との深い絆。
④=癒される心。
最後に短文芸へスポットを当ててくださいました温湯温「こけし灯ろう祭り」実行委員会に感謝申し上げます。

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